便潜血検査は、便に目では見えないほどの微量な血液が混じっていないかを調べる検査です。主に大腸をはじめとする下部消化管からの出血の有無を確認し、出血を引き起こす可能性のある病気の早期発見を目的としています。
この検査で「陽性」という結果が出た場合、消化管のどこかで出血が起きている可能性を示唆しますが、必ずしも重篤な病気とは限りません。例えば、排便時に強く力んだことで肛門付近が切れてしまい、一時的に出血しただけでも陽性反応が出ることがあります。
便潜血検査とは?

便潜血検査の精度について(がんと診断される確率)
便潜血検査の精度はどの程度なのでしょうか。1999年に日本で行われた研究によると、2日間にわたって便を採取する「2日法」の場合、大腸がんに対する感度(病気がある場合に正しく陽性と判定される割合)は83%、特異度(病気がない場合に正しく陰性と判定される割合)は97%と、非常に信頼性が高いことが示され、この方法が推奨されています。
また、厚生労働省の2019年の報告によると、大腸がん検診を受けた方のうち陽性となったのは5.92%でした。そして、その陽性者の中で精密検査を受け、最終的に大腸がんと診断された方の割合は2.79%でした。
便潜血検査で陽性になった場合の対処法

便潜血検査で陽性の結果を受け取った方は、消化器内科を受診してください。陽性反応は、大腸がんのような見逃してはならない病気のサインである可能性も否定できません。自己判断せず、できるだけ速やかに精密検査を受けることが大切です。
よくあるご質問
便潜血検査で陽性になったら、大腸カメラ検査を受けましょう

統計によると、大腸がん検診の受診率はまだ十分とは言えない状況です。国立がん研究センターの試算では、検診受診率が現在の約44%から50%に向上するだけで大腸がんによる死亡者数は17.8%減少し、もし100%になれば死亡率は半分以下(53.0%減少)になると推計されています。
また、陽性と判定された後に精密検査を受ける人の割合(精検受診率)も、目標とされる90%には達していないのが現状です。検診を受けない理由としては、「時間がない」「費用がかかる」といった社会的な要因に加え、「うっかり忘れていた」という声も多く、検診の重要性がまだ浸透しきれていないことが課題です。
注意点として、便潜血検査は進行がんの発見には非常に有効ですが、ごく早期のがんやポリープに対する感度はそれほど高くない(一説では約29%)ことも理解しておく必要があります。
したがって、たとえ便潜血検査の結果が陰性であっても、40歳以上で腹痛や便通の異常など、気になる症状がある場合は、一度大腸内視鏡検査を受けることをご検討ください。
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