高い腺腫指摘率
高い技術と多くの経験
内視鏡機器の進歩はめざましく、最新の機器が最良の機器と言っても過言ではありません。内視鏡の視野角度(範囲)は広くなり、解像度も増し、非常にきれいに観察できるようになったのです。その上、拡大観察までできるようになり特殊光(NBI)との併用で、観察するだけで病理診断にまで迫れるようになりました。しかし、最新の機器を揃えたからといって、大腸内視鏡検査の質が上がる訳ではありません。
いくら内視鏡機器が進歩しても、それを使いこなす技術がなければ意味はありません。どんなスポーツでも多くの練習・試合をこなした選手が、多くの経験を積み早く上達します。大腸内視鏡検査も同じです。症例が多い先生は、盲腸までの到達率が高く、挿入時間が早くなり、内視鏡操作も上手くなります。
しかし、大腸内視鏡検査は盲腸挿入後から観察が始まります。観察は丁寧に一つ一つのヒダをかき分けて一定以上の時間を使わないと見逃しにつながります。
このことを踏まえて、最近では大腸内視鏡検査の質(Quality indicator)を問われるようになっています。内視鏡検査をしても、盲腸まで到達できなかったり、病変が見逃されていては、検査をしたことにはなりません。ある一定の技術のある医師が検査をして、はじめて大腸内視鏡検査をしたことになるのです。
その指標(技術の基準)として、盲腸到達率、盲腸挿入時間、(所見のない時の)観察時間、腺腫指摘率など沢山の指標が学会では話題になってきました。特に腺腫指摘率が高い医師は、内視鏡検査後の大腸癌発生(PCCRC:post-colonoscopy colorectal cancer)が少ないと証明されています。それも初回大腸内視鏡検査を受けた症例における腺腫指摘率が、高く相関するとも言われています。つまり、腺腫指摘率が高い医師は見逃しが少ないと言い換えられます。どうせ検査をするなら腺腫指摘率が高く、見逃しが少ない先生に検査をしてもらう方が良いのは明らかです。欧米の内視鏡学会では各々の指標の基準値、目標値を定めており、医師はホームページで、その成績を公表しています。本邦でも、各内視鏡医師は自分の成績を公表すべきですが、ほとんどの先生が公表していないのが現状です。
下記に、私単独で施行した年間の大腸内視鏡検査数の推移とQuality indicatorを提示します。症例数は非常に多く、全てのQuality indicatorで目標水準を超えており、安心して検査を受けて頂けます。